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岩井志麻子 ぼっけえ、きょうてえ のレビュー

2010-02-14

作者:岩井 志麻子

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫) (文庫)

―教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた…。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)
岩井 志麻子
角川書店
売り上げランキング: 4526
おすすめ度の平均: 4.0
4 文章に癖はありますが
3 不快
4 真に“きょうてえ”のは・・・
5 怖いというよりも純粋に面白かった
5 日常に潜む闇




本当の恐さとは?


最近聞く事の少なくなった「方言」その方言で昔話を語るかのように恐い話を続ける遊女。淡々と話を続ける遊女。その遊女の口を借りて「何者」かが話をしている・・・そんな不思議な雰囲気のなかで繰り広げられる話。読んでいて「恐い」というよりも「悲しい」話が続きますが一転して恐い話に変わります。最後の遊女の一言に思わず鳥肌が立ちました。


土俗的鬼畜ホラー


“ぼっけぇ、きょうてぇ”とは岡山地方の方言で、“すっごく、怖い”という意味だそうです。
圧倒的な筆力で、短編でありながら第六回日本ホラー小説大賞の大賞を受賞するという快挙を成し遂げたホラー史に残る傑作。
言葉の隅々にまで神経が行き渡り、琴線の上を歩くような異常な緊張感を最後の一文まで貫いて下さいます。
舞台は、明治後期の岡山。遊女が客への寝物語りに、自分の生い立ちを聞かせています。
女の一人称、柔らかな岡山弁で語られるその内容は、その時代に生きていたのではと思うほど細やかで、背景が目に浮かぶほど。
どんどん明るみになる女の凄惨な生い立ち、容貌に隠された驚愕の秘密。
これほど短くて、これほど怖くて、これほど面白い話は、他に類を見ません。ホラーというよりは怪談に近いかもしれませんね。

かなり救いのない話ですので、鬱に入りやすい方やモラリストの方にはお薦めできません。
しかし主人公の特殊性を除けば、それがかつての日本の姿そのものだと思います。
土俗的な因習、悪習はほんの少し前の田舎にも残っていて(私の生まれもそうでした)、その姿を知っている者には、かつてないほどの恐怖と共に、ある種の郷愁を感じさせます。
この退廃的な話から面白さを読み取れる、ホラー上級者にのみ読んでいただきたいです。


方言上手はトラップ上手


星は5つまでしか付けられないんでしょうか?
もう最高です。
100年前の日本の地方を舞台にしながら、今現在のホラー感覚を表現できた稀に見る傑作だと思います。
迂闊にも地方の陰鬱な雰囲気を押し出した旧式の怪談だと先入観を持っていましたが、やられました。
軽快なテンポ、視覚的な表現、伏線の絶妙な回収とそれの後の見事なラスト。
正にこれは、古臭い舞台装置を隠れ蓑にした現代の第一級のホラー小説でありエンターテイメント作品だと思います。
むしろ舞台を明治中期の岡山とし、喋り言葉も徹底して方言に拘った事で現代の僕らの日常からの程よい乖離が行われ、
読者はホラーという仕掛けとの間の距離を縮めてしまい、ついつい安心して主人公達の世界にに近づいてしまいます。
巧妙な語り口で現在ではとても考えられない貧しい生活と貶められた不幸な境遇に耳を貸していると、
フラッ、フラッとさり気なくこの世の者では無い怪異から頬ずりされても気付かなくなってしまいます。
そして気を許した時、突然自分の周りの世界がボロボロと崩れ、主人公たちと同じ魔界に降りてしまった自分に気付きます。
確信犯なんですかねぇ。巧すぎます。


ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)
岩井 志麻子
角川書店
売り上げランキング: 4526
おすすめ度の平均: 4.0
4 文章に癖はありますが
3 不快
4 真に“きょうてえ”のは・・・
5 怖いというよりも純粋に面白かった
5 日常に潜む闇

テーマ : ホラー小説レビュー
ジャンル : 小説・文学

tag : ホラー短編集

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