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京極夏彦 巷説百物語 のレビュー

2010-02-19

作者:京極夏彦

巷説百物語 (角川文庫) (文庫)

怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧―。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。小豆洗い、舞首、柳女―彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか―。世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾。

巷説百物語 (角川文庫)
京極 夏彦
角川書店
売り上げランキング: 16319
おすすめ度の平均: 4.5
5 京極版『必殺』の開幕
5 人の心に妖しぞ棲む
4 面白い!だが……。
5 御行の又市再登場
4 京極堂は出てきません




人の業


様々な怪事件が起こるわけですが結局犯人は人間。
人の業が深く関わっている。例えば女への情やら過去の因果やら。
事件の深奥に眠るのが人間の汚らしい本能としての情だとするのならば、とどのつまり化け物のいたづらの方がまだ可愛げがある気がする。
作者の作風と相成って醸し出される空気感や情景は好きな人にはたまらないと思われる。
所々にある漢文を思わせる漢字の読みや、難しい単語などに僅かながらに敷居の高さを感じずにはいられない。
だがそこも作者の作品の魅力の一つだろう。
最後になったがなんと言っても個性的なキャラには目を見張るものがある。


世に不思議なし、世すべて不思議なり


「りん」と鳴る鈴と「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)」。世の中の難儀な課題を怪しげな話とからめて鮮やかに解決する手腕は、さすが「小股くぐり」ですが、本当に怪しいのは人の心ということがよくわかります。
この本も、そして、「続-」も「後-(直木賞受賞作)」もおすすめです。


妖しの世界へと誘う魅力溢れる傑作


「百物語」シリーズの第1作。3作目の「後巷説百物語」は直木賞を受賞した。シリーズの一応の主人公(観察者)は山岡百介という戯作者志望の青年。百介は怪異談を百物語の形にしてまとめようと全国を行脚している。実際、江戸時代に「絵本百物語」という絵本が存在し、桃山人という人が文章を書いている。百介はこの桃山人を模したものか。

収録作品は次の通り。「小豆洗い」、「白蔵主」、「舞首」、「芝右衛門狸」、「塩の長司」、「柳女」、「帷子辻」。

百介は「小豆洗い」で初めてシリーズの仲間、小股潜りの又吉、山猫廻しのおぎん、事触れの治平と出会う(出会った当初、彼らは扮装している)。篠降る雨の中、川の近くの小屋に閉じ込められたのは4人と、怪しげな商人、顔色の悪い僧等。その晩、百物語が語られ、その怪異談を聞いた僧は小屋を飛び出し、足を滑らせ川の中に身を落とし絶命する。川のそばでは、小豆を洗うような音が...。全ては治平達の罠だった。百物語で語られた怪異談は僧の犯した罪を巧みにアレンジしたもので、それにより僧の罪を暴く計画だったのだ。治平達は金で事件解決を請け負う「必殺仕事人」のような存在だった。このメンバーの個性あるキャラクターもシリーズの魅力の一つ。

上の僧は、自分の犯した罪が百物語で語られることによって狂おしくも妖しい恐怖を感じるのだが、妖怪談が実は人間の心の襞から産まれることを強く示唆する。読者も登場人物に感情移入すると、現実と妖怪談の区別がつかなくなり、妖しの世界へ引きずり込まれる。京極氏自身の「本シリーズは京極堂の憑き物落しの逆を狙ったもの」という言葉が明快な説明だ。このような作品が7つもあるのだから妖しの世界を好む人には堪らない。
桃山人が「百物語」を書いたように、本シリーズも100の物語まで続くのであろうか。


巷説百物語 (角川文庫)
京極 夏彦
角川書店
売り上げランキング: 16319
おすすめ度の平均: 4.5
5 京極版『必殺』の開幕
5 人の心に妖しぞ棲む
4 面白い!だが……。
5 御行の又市再登場
4 京極堂は出てきません


テーマ : ホラー小説レビュー
ジャンル : 小説・文学

tag : 怪談 ホラー・ミステリー

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