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小野不由美 魔性の子 のレビュー

2010-02-20

作者:小野不由美

魔性の子 (新潮文庫―ファンタジーノベル・シリーズ) (文庫)

教育実習のため母校に戻った広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。彼をいじめた者は“報復”ともいえる不慮の事故に遭うので、“高里は崇る”と恐れられているのだ。広瀬は彼をかばおうとするが、次々に凄惨な事件が起こり始めた。幼少の頃に高里が体験した“神隠し”が原因らしいのだが…。彼の周りに現れる白い手は?彼の本当の居場所は何拠なのだろうか?

魔性の子 (新潮文庫―ファンタジーノベル・シリーズ)
小野 不由美 山田 章博
新潮社
売り上げランキング: 8374
おすすめ度の平均: 4.5
2 「異端」であることについての、悲しみと共感
5 面白かった
5 やっぱり凄かった!
4 妖魔の恐さ
5 小野不由美らしい厳しさが光る




愛してます、「魔性の子」


学校という閉鎖社会の中で、いつもうつむいているような少年、高里。
どうしても周囲に馴染めないその違和感を、教生の広瀬は人一倍理解し、庇い、庇護しようとするが、高里を巻き込むトラブルは流血の惨事を引き起こし尚、エスカレートする。
彼にまとわりつく腕と獣は一体何者なのか。彼は本当に人間なのか?
古き良きドラマ「謎の転校生」のようなイメージのSF超常現象小説ですが、ラストでは非常に厳しく人間の醜さが暴露され、小野不由美さんの筆力に圧倒されます。
他では絶対に味わえない読み応えと読後感。小野不由美さんの著作で私が最も好きな作品です。


小野不由美の真骨頂


最初の扉に五言律詩が前置きもなく出てきて、最後の書き下し文に現世を漂流する高里を見た気がする。

「十二国記」シリーズを読んでいないと多少判りづらいかもしれないが、ものが「十二国記」よりも先に発売されたのでとくに気にはなるまい、
むしろ読んでいてもいなくても襲い掛かるものの脅威は実感できる。
「十二国記」で慣れ親しんだ固有名詞が恐怖に変わる瞬間は圧巻だ。
これを読むと「十二国記」が読みたくなる、また「十二国記」のあとにこれを読んだほうが絶対に作品世界に突っ込める。

「善光寺だけでは片参り」、そう、「十二国記」だけでは片参りだと思わせる作品である。そういった販促に繋がる点でもこれは小野不由美の本領を発揮した作品、まさに真骨頂といえよう。


恐怖と愛しさと


この本を初めて読んだのは、20歳のとき。怖かった。1ページ1ページにぎっしりと書き込まれた情景、心理描写。人間という生き物が、果てしなく怖く感じられた。そして、その怖さ故に、引き込まれた。
あれから10年と少し。30歳を越えた今、読み返す。2回目だからといって、怖さが色あせることはない。けれど、今度は人間が愛しく感じられた。
小野不由美さんの作品は、ただ怖いだけはない。寂寥感と慈愛が感じられる。
十二国記の先に読むか後にするかは、こだわらなくて良いだろう。単独の作品としても十二分に楽しめる。ただ、十二国記と合わせて読めば、更に輝きを増すこと請け合いである。


魔性の子 (新潮文庫―ファンタジーノベル・シリーズ)
小野 不由美 山田 章博
新潮社
売り上げランキング: 8374
おすすめ度の平均: 4.5
2 「異端」であることについての、悲しみと共感
5 面白かった
5 やっぱり凄かった!
4 妖魔の恐さ
5 小野不由美らしい厳しさが光る



テーマ : ホラー小説レビュー
ジャンル : 小説・文学

tag : ファンタジー・幻想ホラー SFホラー

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