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乙一 夏と花火と私の死体 のレビュー

2010-02-22

作者:乙一

夏と花火と私の死体 (集英社文庫) (文庫)

九歳の夏休み少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。こうしてひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか?死体をどこへ隠せばいいのか?恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作、文庫化なる。第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
乙一
集英社
売り上げランキング: 17179
おすすめ度の平均: 4.0
4 不思議に怖い。
2 16歳とか17歳で書いた話としては素晴らしく
,それを除けばあまり好きではないかもしれない
2 なんとも・・・
5 納得
4 視点がいい



遅れないでねって、そう言ったでしょう?


何を今更、と言われるかもしれないが、乙一は天才だ。

16歳にして既に文体が完成されている。解説で小野不由美も書いているように、その魅力には年齢を超越した風格がある。

「子供」のなかにあまりに自然に同居する無邪気さと残酷さを描き、夏の花火のように儚く消えゆく一瞬の思い出の美しさを描く。目や耳の穴から血を流す自分の死に顔を初恋の少年に見られることを恥じる少女の死体が語る物語は、不条理でありながら美麗。この小説を面白くないと言って、何が面白いと言うのか。

「GOTH」へと繋がる乙一ホラーの系譜、その始まりの書だ。グダグダ言ってないで読むべし。似た題名の映画もあることだし、映像化を切に希望する。
死体がその眼に焼き付ける、夏夜の花火の美しさ。輝く光の洪水が、真実、少女の最期の想い出となるだろうことを祈って。


最後にぞくり


弥生が「私」を殺した理由なんて特に深く追求なんてしない。
それぐらい淡々と語られていく文章を、次第に馴染めなくなるのではと思っていたけれど。
気がつけば貪欲に次の頁を開いてしまっている、続きが気になって仕方ない、そんな本です。

人の命の尊さをここまで侮辱した話があっただろうかと思う。
ただひたすら死体を、「私」を無かったことにするために、次はどうしてしまおうかと読み手側までもを鬼にする。
兄妹と読み手、3人だけだと思っていた鬼の他に、最後の最後でもう1人・・・。
最後の段落のためだけにここまで話を読み進んできたのだと思える程、ぞくりときます。

ホラー小説として区切られているようですが、誰でも読めると思います。
「夏と花火と私の死体」の他に短編が1話入ってますが、こちらも面白いです。


衝撃作


この物語は、最初から最後まで幼い主人公の少女の一人称視点で語られていく。しかし、タイトルにもある通り、少女は序盤で殺され、死んでしまう。
しかしそれでも語りベは、「死体」となった少女の目線で最後まで語られる。

これがとても斬新で衝撃的だった。少女が殺されたとき、「え!?このまま進行するの!?バトンタッチとかしないの!?」と大変驚いた。
そして、友達を殺してしまった罪悪感と恐怖に苛まれ怯える妹に対し、友達の死体を目の前にしても冷静で淡々と死体を隠そうとする小学生の兄が妙に怖くて衝撃的だった。
まして、その彼が妹思いの心優しい少年と先に紹介されているから尚更恐怖が増す。

主人公が死体になってから、あくまで「私」という一人称を使うだけで目線は三人称視点と変わらないのかなと思いきや、ちゃんと「死体」目線で物語は語られていく。
「私の死体を」とか「じっと見られて恥ずかしい」など、小学生の幼い女の子の等身大の気持ちはそのままに、「死体である自分」がどのようになっていくか語られ、言わば「生きる死体」がこの物語の一部始終を見届ける。
今の乙一のように巧みに仕組まれた仕掛けのような小説の作風はまだないが、それでもこの斬新な語り口から当時から既に小説に独特な工夫を懲らしていたのが伺える。

今の乙一の小説のような大どんでん返しの結末の驚きはなく、終始淡々としたものではあるが、それでも読み終わったあとに不思議とゾクッとくる寒気を感じさせる。当時16歳ということを考えると、この潜在能力の高さ。
この小説を読んで、将来に期待しない人はいないだろう。


夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
乙一
集英社
売り上げランキング: 17179
おすすめ度の平均: 4.0
4 不思議に怖い。
2 16歳とか17歳で書いた話としては素晴らしく
,それを除けばあまり好きではないかもしれない
2 なんとも・・・
5 納得
4 視点がいい



テーマ : ホラー小説レビュー
ジャンル : 小説・文学

tag : ホラー・ミステリー

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