FC2ブログ

貴志祐介 黒い家 のレビュー

2009-12-12

作者:貴志祐介

黒い家 (角川ホラー文庫) (文庫)

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。
ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。

ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。
信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。

恐怖の連続、桁外れのサスペンス。
読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。

黒い家 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介
角川書店
売り上げランキング: 6592
おすすめ度の平均: 4.5
5 初体験
2 犯罪小説として
5 傑作恐怖小説
5 こわ楽しい
4 傑作




まさに傑作。


『文章に緩急を付けるのが非常に上手い。』
それがこの作品に感じた最初の感想。

緊迫したシーンではジェットコースターのような疾走を見せ、
落ち着いた場面では緩やかに流す。
簡単なようで非常に難しいことだと思う。
そして、読者は緩急の流れに乗るうちに自然と惹き込まれ、
いつのまにか脱出することは出来なくなっているのだ。

加えて、卓抜な心理・状況描写。
迫り来る恐怖、一刻を争う緊迫感、それらを精緻な表現で書き出していく。
その臨場感は同ジャンルの他小説と比較しても比類無い。

まさにサイコホラーの傑作と言って良い作品だろう。


「怖い」人間を描きながら「救い」も


第4回の日本ホラー小説大賞受賞作ということで、それなりのイメージを読み始めたのですが、一向に怖い場面が登場しません。やっと、終盤も終盤になって殺人鬼に追っかけまわされます。
でもよくよく考えて見ると、人間の怖さを言っているようです。

物語は、保険業界を舞台に展開します。
そこで働く主人公の若槻は、毎日毎日苦情の対応に明け暮れています。そんな中で、事件は起きるのですが、その描写は子細に渡って丁寧に描かれてゆきます。保険業界の仕組みや舞台裏など、今まで知らなかったことも一杯登場します。その事件は、保険金を騙し取ろうとする犯人と主人公の対決という形で登場します。
そこで見えてくる犯人像は、残酷で手段を選びません。

この小説の素晴らしいところは、そうした事件の描き方もそうなのですが、そのバックにある登場人物たちの育ってくる環境の設定です。その異常な家庭環境が、一方で犯人を作り、もう一方で若槻と恵という恋人たちを作ります。
この本の中にサイコパスと言う言葉が出てきますが、恵にそうしたものは生まれ持ったものではなく、育ってきた環境が作り出したものだと言わせています。
ここに「逃げ道」が用意されており、人間的側面を全く持っていないような犯人を描きながら、読み終わった時に、「救い」を与えてくれます。

長い小説ですが、非常に上手く出来ており、読ませる小説になっています。

黒い家 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介
角川書店
売り上げランキング: 6592
おすすめ度の平均: 4.5
5 初体験
2 犯罪小説として
5 傑作恐怖小説
5 こわ楽しい
4 傑作

テーマ : ホラー小説レビュー
ジャンル : 小説・文学

tag : サイコホラー

コメントの投稿

非公開コメント

RSSリンクの表示
リンク
プロフィール

ホライゾン

Author:ホライゾン



好きな小説家は
小林泰三
筒井康隆
貴志祐介
上田早夕里

等など、他にも沢山いますが書ききれません。

本当に怖い、面白いホラー小説の紹介
レビューを中心にブログを運営しています。
宜しければブックマークやRSS登録お願いします。

相互リンクやお問い合わせについては

horror_noveljp[a]yahoo.co.jp
までよろしくお願いします。

ブログ内検索
著者名
その他
あわせて読みたいブログパーツ

にほんブログ村 小説ブログへ
人気ブログランキングへ
ブログランキング


  • seo