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雀野日名子 あちん のレビュー

2010-02-23

作者:雀野日名子

あちん (幽ブックス) (ハードカバー)

暗い雨の日には、お堀ばたを歩いてはいけない。オホリノテに、影を喰われる―舞台は現代の福井、平穏に暮らす公務員・奈津美が見たものは何か。雨の日に這い出す藻草、タブノキの下に埋まっているもの、午前2時19分に鳴る公衆電話、出られないトンネル…実話から織り上げた珠玉の怪談小説。第2回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。

あちん (幽ブックス)
あちん (幽ブックス)
posted with amazlet at 10.02.23
雀野日名子
メディアファクトリー
売り上げランキング: 318314
おすすめ度の平均: 4.5
5 あたたかいホラー
3 昔ながらの怪談
5 表題作「あちん」が半端じゃない怖さ。びびりました
4 帯でソンをしている
5 失われる物悲しさ、優しい虚無感。でもそれは決して絶望ではない。



才能あり


土地の者なら誰もが聞いたことのある地元の噂、幽霊話を元に怪談を仕立てるという仕掛けが良いです。
これで自然と話に引き込まれます。
会話に方言が使われているのですが、この語り口がキレがあって心地よく響き、これによってもまた話に引き込まれます。

白眉は「迷走」という短編ですが、最後の短編に向けて恐ろしさを盛り上げています。

ただ最後の短編のラストについては、小説としては有りですが怪談としては物足りないと感じました。
まぁこれは個人の好みの問題ですけど…

総じて、この作者は非常に才能があり次の作品が楽しみです。


びびりました。


「あちん」と「タブノキ」、冒頭とそれに続く短篇ふたつの怖さが、格別。
黒くて禍々しいものに、白い画用紙が徐々に塗りつぶされ、埋め尽くされてゆく・・・・・・。
地霊というか、土地の氏神というか。その土地に古くから根付いている大いなるものが、ずるりずるりと迫ってくるような、そんな雰囲気を持つこの二篇。
最初のうちはさほどでもないかと感じていた話の空気が、次第次第に邪悪なものに覆われ、ただならぬどす黒さを帯びてゆく気配。ああ、怖かったなあ。

オホリノテと呼ばれる、影を喰らう黒い藻草(もぐさ)。顔半分が潰れた片腕の年寄り、鉄五郎。何やら不吉なものがひとつ、またひとつと出てくる話の中は、今しも土砂降りの雨。
北陸のF市、県庁への帰路を急ぐ主人公が、化け物じみた鉄五郎とぶつかるところ。「私」の足元を見た鉄五郎が、<あちんあちんあちんあちんあちんあちん!>と、鋭い声を出す場面に、まずやられました。
主人公が履くパンプスの黒い汚れ、その不快な悪臭が鼻にこびりついて離れなくなるのと同時に、<あちんあちん>の声が、耳の中で渦巻くように反響しはじめるんですね。
第2回『幽』怪談文学賞の短編部門、大賞を受賞した表題作「あちん」は、半端じゃない怖さで、びびりました。

著者の作品では、先日手にした書き下ろし短篇「きたぐに母子歌」(東 雅夫 編『怪談列島ニッポン』所収)も、面白かったな。
この短篇に登場する部長と営業部員のコンビ、そのコミカルな味がどういうわけか、かなり気に入りまして。
連作短篇のコンビニじゃない、コンビ・キャラにならないかなあと、ひそかに期待しています。



あちん (幽ブックス)
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3 昔ながらの怪談
5 表題作「あちん」が半端じゃない怖さ。びびりました
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5 失われる物悲しさ、優しい虚無感。でもそれは決して絶望ではない。




テーマ : ホラー小説レビュー
ジャンル : 小説・文学

tag : 怪談 伝奇ホラー

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